燭台切、小夜、小狐丸

「だからさ、どうにかしてよ、アレ」「…と言われましても。私にはどうすることも出来ないのですが。こっちこないでください、まだ無理です」

三日月たちの部屋の前で行われるこのやり取りを、不毛だと感じてしまう私は冷たいのだろうか。長谷部が私に恋をしている、とはどこのアイドルのヒットソングだ、と…馬鹿にするわけではないがそう思ってしまった。本当か?と疑ってしまうのは仕方がないといいたい。

「……ねえ、僕たち今から畑仕事なんだけど」

小夜は苛立たしげに燭台切を見つめる。だが彼もまた、負けじと話を続けるのであった。

「小夜ちゃん、これは急を要する話なんだ。…じゃあさ、せめて好みだけでも教えてよ。好みぐらい知れれば少しは落ち着くでしょ、彼も」「性欲の強い人は嫌ですね」
「フッ…お前たちには無理じゃな。あうとおぶ眼中というやつじゃ」

小狐丸が喉を鳴らして笑った。燭台切が腕を組んで唸る。

「突然会話に割り込んできてさり気無く僕も含めているのが腹が立つね、小狐丸。…他に何かないのタイプ、嫌いなタイプじゃなくて好きなタイプだよ」

横文字が言いたいのだろうか、やたら連呼されたタイプが腹が立つタイプのセリフである。特にこういった好みはないのだが、何か答えねばいけない気がする。

「内番をきちんとこなしてくださる方は、とりあえず好きですかね」