「…貴女が新人さん?」「……はい?」

派遣先の選別が行われる暇な時間。とある一人の刀剣男子を連れた女性がやってきた。屈強な身体…あれは確か、山伏国広でなかっただろうか。ニカッとした笑みを浮かべて、彼女の傍に控えている。 隆々の筋肉が隣にたつと、それだけでなにもかもが小さく見えてしまうものだから、だから最初、彼女に対してもこぢんまりとした印象を受けたものだ。まあ実際のところ、身長は目算で160cm前後といったところだったが。

彼女はその顔に一切の表情を浮かべることなく、ジッと此方を見つめていた。そんなに見つめなくてもと思いつつ、隣に立つ山伏とはまた対照的であるとも思った。身長も性格も、雰囲気も、全てが真逆のように見えたのだ。

スッと何かを見透かすように彼女は目を細めた。数秒して、彼女はぽつりとつぶやく。

「貴女の魂は…うすきはだ色みたいね。うすきって呼ばせてもらうわ」「……?」
「真名では呼べないからね、魂の色で呼び名を決めさせてもらっているの。私は深緑(ふかみ)。貴女の先輩にあたります。宜しくお願いするわ」

ご丁寧に、お辞儀までついての挨拶に気後れしながらも、倣うように礼をする。彼女は無表情に続けた。

「ところでね、今回話しかけたのには理由があってね。貴女を勧誘したいと思って声をかけたの」「…勧誘、ですか」
「ええ、私が新設したとある部署にご招待したいの」

深緑は山伏と視線を交し合う。それが私が「更生員」という言葉を聞いた始まりの話であった。