突然ではあるが、ここで私という人物について語ろうと思う。大したことのない、人物紹介、いわば経緯報告である。
つまりはここにきて、私自身が「何故このような現状に到ったのか」について、話をしようと思うのだ。初心忘れるべからず。薄れていく記憶をとどめておきたかったのだ。

ただの一般人であり社会人であった私は、所謂戦いには無縁の平和ボケした日本人であった。血生臭いことにはほとほと縁遠い存在であったのには違いないはずなのに、何故か私は今現在進行形で(血生臭いと噂の多い)審神者なる者となってしまっているのには、きちんとした理由がある。

本来ならば、正式な血脈で、正式な家系で、正式な師弟関係で…正統に作り上げられるはずであったそれは、当初こそはそれも可能な話であった。が、時が進むにつれ、長期的な戦いであることが分かり切ってしまったその頃、やはりというかある問題点が浮上してしまったのである。

壊滅的な人材不足。圧倒的な人手不足、戦力不足。それが正統であるが故に起きた。

来る敵を迎え撃つ味方が少ない、それが、一般人からも「適応力さえあれば審神者になれる」システムが作り上げられてしまった全ての要因であったらしい。 適応力、審神者としての資質…例えば、まあ、極端にいえば様々なものを具現化しうる程の霊力だったり、はたまた全てを導くことのできるリーダー力であったり…資質とは様々にあった。

そんななかで私が群を出て秀でていたのが、何を隠そう、ナニモノにも負けない「生命力」であった。

生命力は弱いと弱いで死や悪い物をひきつけ易くなる。だからそれは、そういった類と関わらざるを得ない職種において、己の身を守るために重要なものであった。 が、所詮はそんなもの二の次の話である。弱かろうと強かろうと、それらすべてを退けることのできる能力さえあれば、いうなれば「何の問題もない」。

だから、私はただのウドの大木。実質落ちこぼれ扱い。それが新人審神者たちが集った場においての私への評価であった。