獅子王

後処理は私が行うと、こんのすけがやってきてその場を追い出された。
私たちはというと、腑に落ちない様子を隠しもせず後にする。血生臭い臭いが鼻に残っていた。

隣では、獅子王が静かに歩いている。他の刀剣たちはこの事態についての話し合いを行いつつ、重い雰囲気のまま先を歩いていた。
獅子王は最後まで、他の刀剣たちが助太刀にやってきたあとも、私の傍で己を盾とするように守り続けてくれていたのだった。

「獅子王」「…なんだ」

以前よりも明瞭な声音で彼が返事をしてくれる。泣きそうになった。

「ありがとう、守ってくれて」「…」
「助けてくれて、ありがとう」「……」
「本当に、ありがとう」「…………」

泣き出しそうになっている獅子王の身体を抱きしめた。私の身体も恐怖でまだ震えてはいたが、彼の身体もまた、違う恐怖で震えていた。小さくもう一度、ありがとうと呟くと、彼はひとつふたつと涙を流すのであった。