浦島

本丸内にある道場は暫く利用されていない。利用する存在がこれまでいなかったからだ。久方ぶりに開かれたそこにはそこかしかに大小様々な埃が溜まっていて、酷い有様であった。

「げほっ……こりゃあ酷いや。凄い埃……なあなあ、なんでこんなに溜まってるの?」
「んー……使ってなかったってのが一番。掃除し忘れてたのが二番」
「それ絶対二番が一番の理由になるよ」「じゃあどっちも一番ということで」

道場の隅にある掃除用具入れから雑巾とバケツを取り出し、浦島に手渡す。それを受け取ると、元気な声で浦島は叫んだ。

「ぃよーし!!掃除頑張るぞー!!」「おー」

浦島が楽しそうに掃除を始める。それが終われば、ここは道場としての本来の役割を果たすことができる。浦島の特訓があともう少しで始められる。焦れったいのが嫌なのか、彼は猛スピードで掃除を終わらせていくのであった。