虎鉄兄弟
「全く、君はまた無茶をして…女であるという自覚はないのかい」 「特に強くはもっていないです」「なら持つんだ」いつの間にかすっかり小姑のようになってしまった蜂須賀が、風で飛んで木上に落ちてしまった洗濯物を拾いに、木登りをしていた私に説教を食らわす。正座をしてどれだけ時間が経っただろう。隣でのほほんとしていた亀吉は既に夢の中であった。
「蜂須賀にいちゃん…もうそのへんで」「いいや、仮にでも僕たちの主役としてここにいるわけなんだ。きちんとしてもらわないと困る」「……これでもちゃんとしていますよ」「これ以上にちゃんとしてもらわないと困る」
ああいえばこういう。ぷうと頬を膨らませば、その光景を眺めていた長曽根が喉を鳴らして笑うのであった。