小夜左文字

和睦の歌を歌い続けている、江雪と宗左を小夜と二人縁側に座って眺めている。歌詞はやたらと現代的なのに微妙に和歌調というか575というか…そんな不思議音楽を耳にしながら、少しばかりの安らぎを二人で楽しんでいた。こくりこくり、と小夜の頭が船を漕ぎはじめる。

「…眠い」「眠いの?」「うん」
「じゃあ、膝に頭を乗せるといいよ。それで少し休もう」「でも…」

渋る小夜の頭を撫でて、ゆっくりと己の膝に倒せばすんなりと私の膝に倒れ込んでくる。最初は身体を強ばらせていたが、次第に気が緩んできたのだろう。頭を猫のように二、三度こすりつけると小さな寝息を立てながら彼は眠りに就いた。
子守唄には程遠いが、兄たちの歌声も心地が良いのだろう。小夜はほんの少しの笑みを浮かべていた。