仲良しかな?

  ロビーですれ違い際に交わした「おはよう」の挨拶に、「ああ」と彼は答えた。そんな私たちを遠目から眺めていた彼女は微笑みを返す。「本当に、貴方たちって仲が良いわよね」

「仲がいい?むしろ悪そうにみえない??」
「逆よ、逆。だってソーマって私たちが挨拶してもチラってこっちみるだけだし。貴女は貴女で素っ気ない返事でも気にも留めないでしょう??」
「うん、まあ。いつものことだし」「そのいつもが私たちにとっては違うのよ」「ふーん」

「まったく薄い反応ね」と苦笑いしながら、サクヤは私の手に持っていたバインダーを覗き込んだ。ふいに驚いた顔をする。
「もしかして新人くんがくるの?しかも新型の…」「旧型もくるよ」「あら、同じ系統の神機使いじゃないの。嬉しいわ」

腕時計を確かめて、チェック欄にチェックをつけた。もうそろそろで新人二人がテストを終える頃合だ。自分も準備をしなくては。
「ねえ、サクヤ。ちょっとお願いがあるんだけど」「ええ、また??」「うん、またー」
紙を一枚めくって、そこから必要物資一覧をサクヤに渡す。その数の多さに、彼女は一瞬だけ眉をしかめ、そして溜息をつく。

「物資不足は相変わらずよね…分かったわ。行ってくる」「ありがと、行ってらっしゃい」

サクヤはひらひらと手を振りながら、エレベーターへと消えていく。入れ替わるようにしてやってきたのは、明るい茶髪の男の子。きょろきょろと視線を忙しなく動かしながら、所在無げな様子だ。

「こんにちは」「あっ、えと…こっこんにちは!」
「新人さんだよね?はじめまして、私のは・サカキです。よろしくね」

よろしくの証として手を差し出せば、彼は嬉しそうに笑って私の手を取り握手を交わした。